インプロバックは、免疫学的去勢効果の結果、雄臭コントロールが期待される製剤です。雄臭を防止する初の免疫学的去勢製剤です。

製品概要

インプロバックはオーストラリアで開発され、1998年以来オーストラリアおよびニュージーランドで実用化され、現在63ヶ国で承認されています。近い将来さらに多くの国々で使用されることが期待されています。
 

インプロバックは、外科的去勢に頼らずに雄豚の2つの主要な雄臭物質(アンドロステノンとスカトール)を安全で効果的に軽減することにより、豚肉生産に新たな発想を生み出しました。

インプロバックは免疫学的去勢に効果的であるだけでなく、肥育期において無去勢豚の持つ本来の好ましい成長特性が期待されます。また外科的去勢に伴う苦痛とストレスをなくし、性成熟した豚に見られる雄行動を軽減しながら優れた発育も期待されます。

免疫学的去勢製剤インプロバックの安定した実績は、養豚場や様々な科学的研究で明確に報告されています。
 

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インプロバックはどのように働くのですか?

雄豚では、精巣の発達と機能は、視床下部から分泌する性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)によってコントロールされています。GnRH は下垂体の特異的な受容体と結合し、黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を誘発します。放出したLHとFSHは精巣に作用して、テストステロンやアンドロステノンなどの精巣ステロイドの分泌を調節します。

図 1 下垂体内で特異的受容体と結合した内因性 GnRH のイメージ図

インプロバックは、豚自身の免疫系を刺激して GnRH に対する特異抗体を生成する免疫学的去勢製剤です。これにより、精巣の機能が一時的に抑制され、雄臭の原因となる化合物の産生と蓄積も抑制されます。

GnRH に対する特異抗体の産生を促すことにより、インプロバックは、テストステロンおよび雄臭の主な原因化合物であるアンドロステノンやその他の化合物を精巣から放出させる一連の生理現象を抑制します。雄臭のもう一つの主な原因物質であるスカトールは、ステロイドの量が少なくなると、肝臓でより効率よく代謝されるためにその濃度が減少します。

図 2 GnRH と、インプロバックによって生成した抗 GnRH 抗体との結合を示すイメージ図

これにより、下垂体内での特異的受容体との結合が妨害され、雄臭の原因となるステロイドと化合物を放出させる一連の生理現象が抑制されます。

インプロバックの豚への唯一の直接作用は、特異抗体の生成を促進することで、その結果、雄臭防止が期待されます。

インプロバックはホルモン製剤ではなく、ホルモン生成もありません。1 それどころか、簡単に一時的に精巣機能を抑制することができる免疫学的去勢方法なのです。

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インプロバックはどのように作られるのですか?

インプロバックに含まれる抗原は、不完全な合成GnRH類縁体から成り(図 3 参照)、その類縁体はキャリアタンパク質に結合(共有結合)しています(この手法はヒト小児用ワクチンに広く使用されています)。

図 3 天然 GnRH とインプロバックに含まれる合成 GnRH 類縁体のイメージ図

小さいほう(右側)の末端が加工されているため、下垂体中の GnRH 受容体へは結合できません。

GnRH 類縁体はそれ自身では免疫学的に活性はないため、免疫原性を示すには、より大きいタンパク質と結合する必要があります(図 4 参照)。

 

 

図 4 大きなキャリアタンパク質の表面に結合してインプロバック抗原を形成する合成 GnRH 類縁体のイメージ図

 

キャリアタンパク質を GnRH 類縁体に結合させることにより、GnRH 類縁体は下垂体 GnRH 受容体に結合できず、その結果、GnRH ホルモン活性が抑制されます。

この抗原が、水溶性アジュバントと調製され、製剤となります。



 

次のビデオでインプロバックがどのように働くかをご覧になれます。



「ファイザーアニマルヘルス事業部門は、インプロバックにより全く新たな技術革新分野をもたらしました。インプロバックは、進歩的な養豚家に新たな技術を与える革新的な免疫学的去勢剤であり、生産性改善や外科的去勢に関連するアニマルウエルフェア問題あるいは雄臭問題改善が期待されています。ここにインプロバックがどのように作用するかを紹介します。」 [ 読み進む ]

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